田園住居地域の創設

田園住居地域の創設と農業経営基盤強化促進法改正

2017年の生産緑地法改正で特定生産緑地が創設されましたが、それと同時にもうひとつ創設されたものがあります。それが「田園住居地域」というものです。「農業の利便の増進を図りつつ、農地と調和した低層住宅に係る良好な居住環境を保護する用途地域」として創設されました。

都市計画運用指針によると、田園住居地域内の農地に関しては緑地機能および多目的保留地機能を有し、より良い都市環境を確保する上で相当な効果があると判断される場合に、生産緑地地区を定めることができます。2016年の「都市農業振興基本計画」で都市農地が「都市にあるべきもの」とその位置づけを大きく変えましたが、田園住居地域の創設もその一貫と言えるでしょう。2022年以降には田園住居地域内に特定生産緑地があるということも出てくるかと思います。尼崎市内で田園住居地域のしてはまだありません。

これまで低層住居専用地域では温室や農機具用の倉庫などの農業用施設を設置が認められていなかったのですが、田園住居地域と生産緑地地区の両方の基準を満たすことができれば設置が可能となります。田園住居地域の指定が進んでいけば、田園住居地域の特定生産緑地地区内に農作物の直売所やレストランといったものができて、楽しめるようになるかもしれません。

また、2018年6月には農地利用の効率化および高度化の促進のために改正農業経営基盤強化促進法が制定されました。これによって、農地中間管理機構(農地バンク)を通して所有者不明の「相続未登記農地」などの利用が可能になり、農業ハウスの地面のコンクリート張りも可能となりました。

本来であれば農地の転用が必要だったのですが、改正農業経営基盤強化促進法の制定によって生産緑地内の施設でも必要に応じて地面のコンクリート張りができるようになったのです。基礎のしっかりとした店舗にすることによって、より多くの人を集めることができますし、それば農業経営の基盤強化にもつながってきます。

Point

  • 田園住居地域は、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定められる地域である。
  • 田園住居地域は13番目の用途地域として新設された。
  • 田園住居地域に指定されると、その地域内では土地の形質の変更、建築物の建築その他工作物の建設が規制される。
  • 2022年には生産緑地の指定が始まってから30年が経過するために、都市の農地の多くが宅地化されて売りに出されるだろうと予想されている。

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