買取り申出の必要性と宅地化までの流れ

宅地化までの流れ

生産緑地を所有していて、宅地化を考えている方は多いでしょう。ただ、生産緑地は解除要件を満たしたからといってすぐに宅地化ができるわけではありません。というのも、生産緑地というのは都市農家の所有地であっても地方自治体が所有者から申請を受けて、市街化区域内の緑地や農地を保護するために優遇措置付きで指定した農地になるからです。

生産緑地の基本は農地の維持・継続・保全です。所有者はこれらの意味を理解した上で優遇措置を受けるために生産緑地の指定を受けているということになります。そのため、保全が優先されて所有者が生産緑地を維持・継続できない場合には所有者に代わって地方自治体や他の農業従事者が保全できるかどうか検討する必要があります。そこで買取り申出という手続きが義務付けられているのです。

ただ、そこで生産緑地の所有者が簡単に買取り申出をしてしまっては意味がありません。それを防ぐために、仮に買取りが成立しなかったとしても買取り申出が受理された時点で再度生産緑地として保持できなくなるという規定になっているのです。

買取り申出の必要性についてはおわかりいただけたかと思いますが、宅地化を希望している方が買取り申出をする場合にはどのような流れになっているのでしょうか?まず押さえておきたいのが、買取り申出から宅地化の手続きに入るまでの期間です。これが3か月かかります。思っている以上に時間がかかりますので、この点は事前に頭に入れておきましょう。

生産緑地の所有者は解除要件を満たすことを明らかにした上で、地方自治体に買取り申出をおこないます。地方自治体は買取り申出かを受理したら、1か月以内に買取りの有無について書面で通知します。これまでは財政的な問題もあって地方自治体が買取ることはほとんどなかったのですが、今後は買取る地方自治体が出てくる可能性があります。

地方自治体が買取らないという場合、他の農業従事者によって維持・継続できないかどうかを営農している農業関係者などに買取りを斡旋します。この買取り斡旋の期間が2か月あります。ただ、買取る農業従事者はほとんどいないというのが現状です。

買取り申出を受理した日から起算して3か月間で買取りがどことも成立しない場合には、申請者が元の生産緑地を宅地課税扱いの都市農地として自由に扱えるようになります。ここまで来てやっと宅地化の手続きができるようになるのです。

ただし、先でも触れましたように買取り申出をすると買取りが成立しなくとも、生産緑地に戻すことはできません。また、納税猶予を受けている場合には、買取り申出をおこなった時点で相続税・贈与税の納税猶予が打ち切られることになり、2か月以内に全額を納めなければいけません。注意しておきましょう。当社では税理士・司法書士と提携してお客様の相談を承っています。お気軽にお問合せ下さい

 

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