固定資産税

生産緑地と固定資産税

生産緑地に指定されるとその農地は農地評価(農地として利用する場合における売買価格を基準として評価した価額)となります。また生産緑地は営農が義務付けられていますので一般農地(非線引き・市街化調整区域内の農地等)と同様に農地課税となり固定資産税の負担が非常に低くなっています。市街化区域内の農地で生産緑地に指定されていない農地は、その市街化区域内の状況が類似する宅地の価格に負担調整措置を講じ算出した税金を納めることになります。

固定資産税は1月1日現在の不動産登記名義人が基本的に納税義務者となっており、所有不動産の所在する市町村から課税される税金であり、固定資産税評価額に1.4%の税率を乗じて算出されます。また固定資産税と同様に都市計画税として固定資産税評価額に0.3を乗じてて算出した額を税金として納めることになります。

尼崎市の固定資産税評価額の算出の仕方は平米単価126.7円になります。                                                                                         例)生産緑地800㎡の場合101,360円が評価額となり固定資産税は1,419円/年・都市計画税は304円/年になります。【800㎡×126.7円・101,360×1.4%・101,360×0.3%】

生産緑地を所有している方にとって大きな問題となってくるのが、固定資産税です。ここでは改めて固定資産税の課税について触れていきたいと思います。固定資産税は課税標準額に税率をかけて計算していくことになります。計算式にすると「固定資産税=課税標準額×標準税率(1.4%)」となります。課税標準額は通常、その土地の評価額をもとに算出されることになります。ただ、特例などで政策的に軽減されることもありますし、地価の急上昇によって評価額が急激に上がることもあります。そういったことを考慮して、「負担調整率」によって算出される場合もあります。

農地の固定資産税も計算の仕組み自体は通常の宅地と同じです。ただ、農地の区分によって規制が異なり、その規制が農地の評価額に影響を与えるという違いがあります。同じ農地でも区分の違いによって、固定資産税の負担に大きな差が出てくるのです。

生産緑地の固定資産税の課税区分は一般農地と同じように、農地評価、農地課税となります。営農の継続を前提とした収益性という条件のもとで、農地の正常売買価格に55%の限界収益修正率をかけて評価額が算出されることになります。仮に路線評価額の高い道路に接していたとしても、農業での収入を前提とした売買価格が前提となってきますので評価額は低くなるのです。

一方で、特定市街化区域内農地となってくると宅地への転用が比較的簡単にできることもあり、宅地並み評価、宅地並み課税となります。ただ、農業をおこなっている場合にはその評価額に3分の1をかけて、固定資産税が課税されることになります。これを課税標準の特例と呼びます。

一般市街化区域農地に関しても農業をおこなっている場合には、課税標準の特例が適用されます。しかしながら、負担調整措置が導入されていますので、農地に準じた課税となります。場所にもよるのですが、生産緑地は通常の宅地と比べるとその評価額はかなり抑えられることになります。ただ、生産緑地法の改正によって特定生産緑地の指定を受けない場合には、宅地並み課税となりますので注意が必要です。

特定市街化区域内農地はおおむね10年以内に宅地化が想定される農地ですし、届出をおこなうだけで宅地への転用が可能です。そのため、類似の宅地価格に比準した価格から造成費相当額を控除して評価額が算出されることになります。宅地への転用の見込みがあるからこそ評価額が高くなりやすいですし、固定資産税負担も大きくなりやすい傾向にあります。逆に、生産緑地などの農地の固定資産税は営農の継続という規制が前提となっているため、評価額が低くなり、固定資産税負担も軽くなるわけです。

 

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