相続登記の基本と手続き方法

相続登記の基本知識 (相続登記の義務化は令和6年4月1日から)

相続登記とは、相続した不動産の名義を、被相続人から相続人に変更する手続きのことです。実際に土地や建物を相続したとき、どのように相続登記を行うのか、実はよく分からない方も少なくないのではないでしょうか。ここでは相続登記の基礎知識と手続き方法を解説します。

①相続登記とは

不動産の所有者は法務局の登記簿の甲区(所有権に関する事項)に住所氏名が記載されることによって管理されています。売買や相続があれば法務局の登記簿に記載されている所有者を変更する「所有権移転登記」を申請します。

この申請は義務ではありませんが、民法177条に「不動産の得喪及び変更は不動産登記法に従いその登記をしなけらば第三者に対抗できない」とあり、登記をしなければ自分がその不動産の所有権者であることを第三者に主張することができなくなります。ですので通常、相続を原因として所有者が変われば法務局に相続登記の申請をして名義の変更登記を行います。

②名義の確認方法

不動産の登記名義人は誰なのかは、その不動産を管轄する法務局で「不動産登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得すれば記載されています。またいつどのような原因(相続・贈与・売買・競売など)でその不動産取得したかなどはもちろん、閉鎖登記簿などを遡ればその土地の歴史を振り返ることもできます。

相続登記をするには、まず現在誰の名義になっているのかの確認が必要になります。

③相続登記をする理由

相続登記をするのは、通常不動産を相続したこと(その不動産の名義人であること)を主張(証明)するためです。

相続した不動産を売却したり、銀行からその不動産を担保に融資を受ける場合などは相続登記が必要になります。また遺言や遺産分割協議によって法定相続分を超えて相続している場合、法定相続分を超えている部分については、登記で名義人になっていなければ、所有権を第三者に主張することができません。

不動産を二重譲渡され第一譲受人と第二譲受人の間で、先に自らを譲受人とする不動産所有権移転登記を行ったものが当該不動産の権利を取得したことになります。これは第一譲受人が先に契約を締結し売買代金が支払われていても、後から契約した第二譲受人が先に所有権移転登記を完了した場合には、第二譲受人の権利が認めらます。ですので、相続に限らず所有者が変わった場合は所有権移転登記をしておきましょう

④相続登記を放置すると

相続登記は必要に迫られてからではなく、相続後できるだけ早く相続登記をすることが必要です。

私は会社がある尼崎市役所からの依頼で土地家屋調査士として登記相談を受けることがありますが、相談のほとんどが相続登記に関する事です。相続登記を放置することで下記の様な問題が生じてしまっています。

・相続人が認知症になってしまう(遺産分割協議ができない)

・二次相続が発生し利害関係人が増える

・相続人同士の関係が悪化する

⑤相続登記手続きについて

(1)相続登記を進めるためには先ず不動産の名義を誰にするかを話し合う必要があります。その方法は遺産分割協議による法定相続分による遺言によるの3つが考えられます。

(2)相続登記の手続きはその不動産の所在地を管轄する法務局に申請します。相続人の住所地でも元の名義人の住所地でもありません。相続登記を相続人自ら申請する場合は、管轄の法務局に出向き行います

(3)相続登記に必要な書類は下記図表1の通りです。登記申請書を作成し必要書類を添付して申請します。

(4)登記完了までの期間は司法書士に依頼した場合は登記申請して1週間程で完了します。ただ必要書類を集めるのに時間が掛かる場合があります。中でも戸籍謄本は1か所の役所ですべてが揃う方もいますが、本籍地が何度か移転している場合は、それらすべての沿革を調査する必要があり時間が掛かります。遺産分割協議書には法定相続人全員の署名と実印(印鑑証明書付き)も必要になります。

 

 

⑥法定相続情報証明制度

法定相続情報証明制度は、法定相続人が誰かを法務局の登記官が証明する制度平成29年5月から始まりました。

相続が発生すると、不動産登記や保険、銀行と様々な場面で相続人が誰かを証明する必要があり、そのたびに戸籍の提出を求められます。被相続人の出生から死亡までの戸籍、そして各相続人の現在戸籍、さらには住民票の写しを揃えると、膨大な枚数になります。また原本の提出を求められますので、ある銀行に戸籍一式の原本を提出し、手続きが終了して返還された戸籍一式を不動産登記に提出していたのでは、いつまでたっても相続の手続きが終了しません。

また戸籍一式を複数用意して、各所に提出すれば短時間で手続きを済ませることができますが、戸籍は1通450円、原戸籍や除籍などの古い戸籍は1通750円かかるので複数取得するとかなりの費用がかかります。このような不都合を解消するため、法定相続情報証明制度が始まりました。

相続人が法務局に戸籍等必要書類と作成した法定相続情報一覧図を提出すると、登記官が内容をチェックした上で、法定相続情報一覧図を保管し、相続人の申出により法定相続一覧図の写し(証明書)が交付されます。この証明書を各手続き機関(銀行・保険・管轄の違う法務局)へ提出すれば、戸籍謄本等の提出を省略することができ、大変便利です。

⑦相続登記の費用

相続登記には必ず登録免許税がかかります。登記申請の際に収入印紙を貼付して納付します。登録免許税の計算は土地・建物の固定資産税評価額によって決まります。固定資産税の評価額が1000万円であれば0.4%が課税され40,000円の登録免許税を納めることになります。それ以外には戸籍等の証明書を取得する費用など実費が必要になります。

相続登記申請手続きの専門家である司法書士に依頼した場合は、当然司法書士の報酬が必要になります。相続登記の場合は複雑な案件でなければ10万円前後が相場だと思います。遺産分割協議書の作成や、相続人の人数、戸籍収集の難易度、また地域によっても相場が異なる場合があります。

相続する不動産の管轄法務局が複数ある、相続人が多い、時間的余裕がない、権利関係が複雑など、難易度が高い場合は司法書士に依頼されることをお勧めします。

⑧登記完了後の書類

相続登記が完了すると、法務局より「登記識別情報」が発行されます。従来の「権利証書」に代えて発行される英数字の組み合わせによる12桁の符号(パスワード)です。登記識別情報の紙自体ではなく、パスワードが大事ですので誰にも見られない様に施されています。この登記識別情報は名義人ごとに発行され、再発行されないものです。将来不動産を売却する時や銀行の担保に入れる時に必要になりますので、大切に保管しましょう。

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