生産緑地の制度に関するよくある質問をまとめました。
目次
- 1 相続が発生しました。相続する生産緑地を売却する場合の注意点は?
- 2 今から市街化区域にある農地を「生産緑地」に指定できますか?
- 3 生産緑地に指定された農地を相続により引継ぎました。相続した時から30年経過するまでに特定生産緑地の指定を受ける必要がありますか?
- 4 生産緑地に指定されると固定資産税の評価額はいくらになりますか?
- 5 生産緑地を特定生産緑地に指定しない場合に固定資産税の農地課税はどうなりますか?
- 6 相続税の納税猶予制度を利用している生産緑地を相続しました。生産緑地の買取申出をする前に売却できますか?
- 7 相続税の納税猶予制度を利用している生産緑地を特定生産緑地に指定せず、放置をした場合はどうなりますか?
- 8 生産緑地を一度解除した後、再度生産緑地の指定を受けることはできますか?
- 9 生産緑地の一部を解除して売却することは可能ですか?
- 10 現在所有する400㎡の生産緑地が一団地認定を受けています。一団を組んでいる人が特定生産緑地の指定を受けるとのことなので、私は切り売りして残す土地が300㎡未満となっても継続できますか?
- 11 生産緑地の売却に農協の斡旋を受ける必要がありますか?
- 12 農地等利害関係人とは?
- 13 小作農地を所有しています。所有者が死亡した場合は生産緑地の買取申出ができますか?
相続が発生しました。相続する生産緑地を売却する場合の注意点は?
A1:生産緑地を誰が相続するか。相続税の納税は10カ月以内。生産緑地の解除(買取申出)と農地法5条届出などのスケジュール。が主な注意点になります。農地法5条の届出に必要な都市計画法の開発許可書、敷地の境界確定が必要となると時間の余裕はありません。当社では高額な買い手を探せるだけでなく、土地家屋調査士業の兼業に加え、提携する税理士・司法書士・設計会社と連携し手続きを進めることができます。境界確定では隣接所有者の同意、開発許可には役所手続きと第三者の同意と行政手続きという、こちら側の意志だけでは早く処理できない事項が含まれますので、早めにお問合せ下さい。
今から市街化区域にある農地を「生産緑地」に指定できますか?
A2:所有する市街化区域内の農地を生産緑地にしたい場合は、市区町村から生産緑地の指定を受ける必要があります。要件を満たせば指定を受けることができます。
生産緑地に指定された農地を相続により引継ぎました。相続した時から30年経過するまでに特定生産緑地の指定を受ける必要がありますか?
A3:特定生産緑地の指定は生産緑地に指定された日から起算し30年経過するまでに行う必要があります、相続や売買などにより所有権が移転していても起算日が変更されるものではありません。
生産緑地に指定されると固定資産税の評価額はいくらになりますか?
A4:平米単価126.7円になります。 例)尼崎市内の生産緑地800㎡の場合101,360円が評価額となり固定資産税は1,419円/年・都市計画税は304円/年になります。【800㎡×126.7円・101,360×1.4%・101,360×0.3%】
生産緑地を特定生産緑地に指定しない場合に固定資産税の農地課税はどうなりますか?
A5:農地課税から宅地並み課税になりますが、固定資産税の急激な上昇を抑えるため、毎年20%程度5年かけて段階的に上がります。
相続税の納税猶予制度を利用している生産緑地を相続しました。生産緑地の買取申出をする前に売却できますか?
A6:売買契約は締結できますが、所有権移転登記はできません。農地を購入する人が農業従事者かどうかで手続きが異なります。農業従事者以外の人に売却する場合は、締結する売買契約書に農地法5条の届出(開発許可を含む)・生産緑地の解除などの条件を記載するのが一般的です。その他、敷地の境界確定や地目変更登記も決済条件に含まれることが多いです。
相続税の納税猶予制度を利用している生産緑地を特定生産緑地に指定せず、放置をした場合はどうなりますか?
A7:相続税の納税猶予は現在の所有者に限り継続しますが、次の相続では納税猶予を利用することはできません。特定生産緑地制度の指定を受けた場合は次の相続でも猶予制度の利用ができます。
生産緑地を一度解除した後、再度生産緑地の指定を受けることはできますか?
A8:継続して生産緑地の指定要件を備えておれば、再度生産緑地の指定は可能です。
生産緑地の一部を解除して売却することは可能ですか?
A9:一団の生産緑地の一部を解除して売却することは可能です。敷地の境界確定及び分筆登記が必要です。また残す土地が生産緑地指定の要件に当てはまるか注意が必要です。
現在所有する400㎡の生産緑地が一団地認定を受けています。一団を組んでいる人が特定生産緑地の指定を受けるとのことなので、私は切り売りして残す土地が300㎡未満となっても継続できますか?
A10:農地が300㎡未満でも一団地認定を受けられる場合は継続可能です。ただし一団を組んでいる人が特定生産緑地を解除した場合に道連れ解除となりますので注意が必要です。
生産緑地の売却に農協の斡旋を受ける必要がありますか?
A11:生産緑地を売却する場合にどこに依頼するかは所有者の自由です。農協(JA)は農業の発展に寄与する組織です。農地の買い手が農業従事者の場合には、農協だけでなく農業委員会にも相談するのが良いでしょう。ただし、買い手が農業従事者以外の場合は専門外となりますので、高く売れることを優先して、専門の不動産会社に相談するのが良いです。
農地等利害関係人とは?
A12:特定生産緑地の指定に当たっては、農地等利害関係人の同意を得ることとされています(生産緑地法3条4項)。具体的には、農地等について所有権、対抗要件を備えた地上権もしくは賃借権、登記した永小作権、先取特権、質権、抵当権を有する者及びこれらの権利に関する仮登記もしくは差押えの登記、農地等に対して買戻し登記など、これらの登記名義人が農地等利害関係人に該当します。
小作農地を所有しています。所有者が死亡した場合は生産緑地の買取申出ができますか?
A13:買取申出ができるのは主たる従事者である小作人の死亡になります。